優しい命令

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「斎藤、お前はここに残れ」 「副長?」 土方さんの目は真剣そのもの。 そう、これは命令だ。 「お前と同じく、恩義ある会津を見捨てられない奴らもいるだろう。そいつらを率いて、殿を守れ」 あぁ……そうか。 この人は分かっているのだ。 俺が土方さんと会津のどちらを取ったらいいのか迷っている事に。 だから、命令する。 迷わなくていいように。 後悔しないように。 「……分かりました」 貴方は、どんな時でも優しいのですね。 俺はその優しさに縋ってしまう。 「必ず追い掛けて行きますから」 「あぁ、死ぬんじゃねぇぞ」 土方さんが会津を発って程なくして、会津は新政府に降伏した。
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