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「ん?」
数ヶ月前まで、白一色だった五稜郭。
今では桜が咲き乱れ、桃色な春の日。
土方は、五稜郭の片隅で座り込んだ市村鉄之助の後ろ姿を見つけた。
「何やってんだ?」
屈み込んだ市村は何かを探しているようで、土方は後ろから話しかける。
「あ、副長」
振り向いた市村は泥だらけだった。
「何か落としたのか?」
「いえ、捜し物です」
そうして、またジッと地面を睨みつける。
しかし、そんなに血眼になって地面を見なくても、何も無い事は一目瞭然だった。
「何探して……」
「あった!!!」
市村の異様な行動に、訝しみながら声をかけようとしたら、大きな声を出しながら市村が顔を上げた。
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