幸せの葉

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「副長、どうぞ!」 差し出された手の中には、4つの葉がある草。 「何、これ?」 「榎本総裁に教えてもらったんです。くろーばーって言うらしいですよ」 「くろーばー?」 土方は市村からクローバーを受け取りながら、聞き慣れない言葉に首を傾げる。 「普通、葉っぱは3枚らしいんですけど、たま~に4枚のがあるんですって」 土方は手の中を見る。 そこにあるのは4枚の葉。 「4枚のくろーばーは幸せになれるんですって」 「……鉄、お前……」 市村は、土方に幸せになってほしくて四つ葉のクローバーを探していたのだ。 「絶対、副長は幸せになれますよ!」 そう言って笑う市村に、不覚にも泣きそうになった土方だった。 「あれ、歳さん。それ何?」 後日、本の栞としてクローバーを大切に使っている土方の姿が目撃された。 【完】
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