~ 第一章 天使の降り立つ日 ~

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 幽霊とは本来、大半が無害な存在であり、昨日襲ってきたような悪霊は普通そう簡単に遇うことなどない。  だが物事に例外は付き物で、この者がどういう存在か分からない現状、正しく判断するためにも相手の動作に気を配る。 (自分が見られていることに気付いてないのかそれともわざとか……見た目的に性別は女だな。歳は~俺と同じぐらいかな? 一五、六ってとこか。この布みたいなのに背中の翼からみてコスプレしたまま死んだのか、それとも生前したかったけど出来なかったとかそんな辺りか?)  とはいえ見ているだけでは相手のアクションを待たねばならず、そんなことしていては学校に遅刻するどころか日が暮れる可能性もあるため思考を切り替え、ならばと翼を付けた者に対し指を突きつけ、徐に話しかけた。 「お前何してんの?」  自分が話しかけられていることに気付いていないのか左右を見渡し、再び小首を傾げてから羽ペンを動かす。  話しかけられた幽霊が必ずと言って良いほどお馴染みの仕草に、清明は飽き飽きした態度ながらも続ける。 「お前に言ってんだ。背中に翼をつけたお前に」  実際今の仕草をする時点で十中八九無害な幽霊確定なのだが、ならば逆に気になることもあるが、取り敢えずは相手の反応を待つことにした。  そこまで言われて彼女はやっと気が付いたのか、自分を指差して初めて声を発した。 「もしかして私に言ってますか?」  無言で頷きつつ、鈴の音のような声に内心どきりとしていた。  見た目も可愛らしく、成長途中の体はやや幼さを感じさせるも、それでも薄い布越しにハッキリと凹凸(おうとつ)が確認出来る。
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