うそつき。

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少年はただ、悲しげに 少女はただ、楽しげに 「どうやら、僕らは同じみたいだ」 「そうよ、私たちは同じだわ」 「この世界に意味はない。たとえいま、朽ち果てようとも」 「この世界は幸せに満ち溢れている。それは、永遠に続くでしょう」 少年は俯き、うなだれた。 少女は見上げ、大きく手を広げた。 「ああ、なんて不幸なんだ」 「ああ、なんて幸福なの」 「「この世界に生きる命は」」 少年は泣いた。無言のまま、涙を流した。 少女は笑った。声を出し、笑みを零した。 「ああ、きみは」 「ああ、あなたは」 「「可哀想な、うそつき。」」 「うそつきだ。きみは、うそつきだ。」 「うそつきね。あなたは、うそつきね。」 少年はまだ泣いていた。 少女はまだ笑っていた。
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