うそつき。

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少年は泣きながら言った。 「可哀想に、辛かっただろう」 少女は笑いながら言った。 「可哀想に、なんて哀れなの」 「君には不幸しか訪れないのに、どれが不幸か分からなくなって、涙を消してしまったんだね。笑いながら幸福を謳うんだね」 「貴方には幸福しか訪れないのに、どれが幸福か分からなくなって、笑顔を消してしまったのね。泣きながら不幸を嘆くのね」 少年はただ、幸せすぎた。 少女はただ、不幸せすぎた。 それだけのこと。ただ、それだけのこと。 「君の不幸を聞かせてよ。僕が幸福を見つけられるために」 「貴方の幸福を聞かせて。私が不幸を見つけられるために」 「「自分を見失ってしまったから」」 とある少年と、とある少女が出会いました。 それは幸せなのか、不幸せなのか。 少年と少女にはわかりませんでした。 「なんて、つまらない。不幸な世界」 「なんて、美しい。幸福な世界」 この2つの言葉を、どちらが言ったのか。 それもまた、わかりませんでした。 《FIN》
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