prologue~1999年夏~

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元来、この浜辺は、すぐ海が深くなる為、海水浴場には向いていないのだ。 もっとも、海水浴場は入江をぐるりと回った場所に在り、淳達が在校している昼見小学校からも歩いて5分もかからない。 だから、海釣りに来る釣り人を除いて、この浜辺を知っているのは淳達だけで、彼等の恰好の遊び場だった。 『おい、野球しねぇ? おにごっこ飽きたよ』 仲間の一人が短パンのポケットから、ゴムボールを取り出し、言う。 浜辺に棒で線を引いて、三角ベースの野球擬きが始まった。 ジャンケンで負けた者が、ピッチャーになる。 バッターは手打ちで(言い出しっぺの少年が、バットを忘れた)やる。 細かいルールは、必要になる度にみんなで決める事にした。
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