prologue~1999年夏~

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淳は、いきなりジャンケンに負け、最初からピッチャー役になった。 『ちくしょう。ぜったい、負けないからな!!』 悔しい表情で淳は、そう言うと、ピッチャーマウンドに立つや否や、下投げで内角を狙った。 勿論、不意打ちは承知だったし。空振りをさせてやるつもりだった。 ところが、バッターになった仲間が運動神経の良い奴で、簡単に大きくクリーンヒットされてしまったではないか。 『やったぜ、初級ホームラン!!』 バッターは、もはや勝ちは決まりだと云わんばかりに、ガッツポーズを取りながら、悠然と三角ベース擬きを回る。 しかし、打たれた淳は、それどころではない。 ゴムボールは淳達のいる浜辺を越え、後方の岩場の密集地へと飛んでいってしまったからだ。
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