prologue~1999年夏~

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やっかいな場所に、行ったなぁ…。 と思いながら、ボールを探しにいく。 暫く、岩場を探してしると、ボールが見つかった。 案の定、ボールは岩と岩の隙間にプカプカと浮いて、淳をからかうように揺れている。 屈みこみ、手をいっぱいに伸ばしてボールを取ろうとする。 しかし、指先にボールは触れるのだが、取られるのを嫌がるかのように、位置を変え、なかなか掴ませてくれない。 『おーい、早くしろよな~』 30メートル程、離れた浜辺から、仲間達が呼びかけてくる。 『なんだよ…。自分たちは探さないで、勝手だよな』 とぶつぶつ呟きながら、懸命に手を伸ばした時―。 突然、女の子がすすり泣く声がした。
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