prologue~1999年夏~

6/8
前へ
/8ページ
次へ
驚いた淳は、慌て身体を起こすと辺りを見回した。 しかし、自分の近くには誰もいない。 波か風の音を、聞き間違えたのか…? などと、考えていると。 『おーい、日がくれちゃうぞぉ!!』 『淳の下手くそ~』 仲間達のヤジが耳に飛び込んできた。 『うっせ!! バ~カ!!』 後ろを振り向き、怒鳴り返した後、もう一度、岩の間に手を入れようとした。 すると、やはり微かではあったが、女の子のすすり泣く声が聞こえてきた。 どうやら、近くにある大きな岩の陰から聞こえてくる。 淳は立ち上がると、その岩に近づき、恐る恐る背伸びをしながら、後ろを覗き込んだ。 【誰か】が隠れていると思っていたからだ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加