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どころが、女の子の姿はなく。代わりに、波打ち際に、一体の人形が打ち上げられていた。
そんなに大きくない手造りの、女の子の人形だ。
足を海水に浸す格好で、岩場に引っかかっている。
心なしか、人形の顔が泣いているように見えた。
『まさか、な』
ハハ…。と笑いながらも、そのまま人形をほったらかしにもしておけず、淳はしゃがみ込んで人形に手を伸ばした。
岩の表面に絡みついた毛糸を丁寧に取ってやる。
人形を手に、立ち上がった時、
『おい、何やってんだよ』
仲間の一人が痺れをを切らしてやってきた。
慌て人形を隠そうとしたが、遅かった。
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