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「ん~?それが本当ならあれじゃない?ドッペルゲンガー。ほら、自分そっくりのダレかがいて、会ったら死ぬって奴」
「うげ、止めてくれよ!めっちゃ怖いじゃねぇか!」
「まぁまぁ、ただの迷信だって。あっ、もう家だからじゃあね~」
カノラはサレヴァリスと書かれたこの街でも割と大きな家を指差して入っていった。
そういやあいつってあんなでも下級の貴族なんだよな、と怖い話題を払うように考えを巡らす。
今度飯でもおごって貰おう。
奢ってもらう品目について考えを巡らせて、何巡目かの串焼きが頭に浮かんできた時にやっと家へとたどり着いた。
「ただいま」
「アレウス?!えっ?」
家に入り適当に帰宅を告げると、その場にいた母さんがめちゃくちゃ困惑していた。
「どうした母さん?」
「えっ?えっ!?じゃあ上に居るのは?」
"上に居るの?"
俺はその言葉で全てを察した。
ドッペルゲンガーが、俺より先に家に帰ってきたのだ。
「にっせっもっのぉ~!!何なんだお前はぁ!」
叫びながら靴を脱ぐのも忘れて階段を駆け上がる。
「ここかぁ!!それともここかぁ!?」
手当たり次第に扉を開けるも、居ない。
書斎や本が顔を出すだけだ。
「それともここかぁ!」
三つ目に自室を開くと……いた。
顔を驚きに染め上げた隅から隅まで俺にそっくりな"俺"が。
そいつは俺に向かって顔を上げて……。
「任務完了だな本体!じゃーな!」
俺と同じようなノリをして。
シュッとした音と共に俺の体に細い光となって入り込んだ。
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