第一弾・零.伍

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後は…… ああ、そうでした。 我が郵便局内唯一とも言える憩いの場を紹介してませんでしたね。 内側の円と塔の間には庭が広がっていまして、噴水やベンチ、ウッドテーブルもあり、様々な植物も生息しています。 日の光りもちょうどよく当たりますから気持ちいいですよ。 けれど入れる人は限られていまして、  プラスナンバー “ 正 号 ”と呼ばれる方々しか入ることはできません。  マイナスナンバー “ 負 号 ”と呼ばれる方々は庭だけではなく地上に近付くことすら法により許されていないのです。 例外を除いて。 例外の例…? そうですね……“過誤”がよくあるいい例ですね。 配達する“モノ”が忌むべきモノの場合、それを配達するのは  マイナスナンバー “ 負 号 ”と決まっていますから、届け先関係なく彼等に回されるのです。 え?それだけでは理由になっていない? ああ、成る程、塔の内部を知らないのでしたね。 これはこれは、失礼致しました。 塔には地下二階から地上七階まで様々な場所に繋がるゲートが存在しているのです。  マイナスナンバー “ 負 号 ”が行けるのは地下のみですから、普段は地下ゲートから仕事に行きます。 しかし、例外の場合、地上のゲートを通ることが可能なのです。 地上の建物は地上の建物、地下の建物は地下の建物としか繋がっていませんから例外として地上の建物へ行き、地上の塔に入ることが許されています。 逆、つまり地上から地下へ行くことも許されていませんが、そんなことする方は  プラスナンバー “ 正 号 ”にはいらっしゃらないので、厳重に見張るなんてことはしていません。
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