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「そう言えば……」
零ちゃんがなにか思い出しように呟き、訊ねた。
「あなた部活はやるの?」
「さあ?」
「運動部は? あなた陸上やってたじゃない」
「悪くはないかもな。ただ……」
俺は陸上部だった。
これでも結構走ることに自信はある。
それでも、
「もういいかな。ある程度満足したから」
「そう? それはちょっと残念かも」
「零ちゃんこそ生徒会入らずに運動部に入ればよかったのに。中学の頃はよく助っ人してたじゃん」
「私は日課で鍛えていたことの延長にそういうものがあったから。それに今となってはあなたには勝てないし」
そりゃそうだろう。明確に体格差が出始めるものだ。
「あーあ、昔は私が勝ってたのになぁ……」
楽しそうに、いや、ちょっぴり寂しさを挟んで、溜め息を吐いた零ちゃん。たいして気にすることでもないと思うけど。
「女子の中じゃ零ちゃん速い方だろ?」
「そうだけど……、やっぱり男女差ってあるものなのね。残念だわ」
「それほどまでに俺達が成長したってことだろ。いつまでも子供のまんまでなんかいられないんだから」
「あら意外、ふみきが生意気に正論を説いているわ。成長したっていうのはあながち嘘じゃないみたいね」
あんたの中身は変わったようでかわらないな。
だが外見は変わる。
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