もしもあなたに会わなければ

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彼女の容姿について言及するならば。 相変わらず顔の造形は美しく(詳しく言えば、目大きいうえに二重だし、顎鋭利だし、以下略)、長い薄茶色の髪は地毛だ。零ちゃんはクォーターなのでほんの少しだが日本人離れした顔つきだ。 後ろ髪は二つにわけてリボンで止められている。スタイルは背のたかさもあって良好である。 特に、……胸はいい形状だ。大きさも問題ない。充分ある。 「……どこ見てるのよ?」 ジト目で俺を軽蔑するような視線を向けられた。彼女は空いている片方の手で胸を隠している。 「ん、いや、零ちゃんもちゃんと成長したんだな……って」 俺の失言に零ちゃんは顔をほんのすこし赤らめてから、じろりと睨まれる。 「……ヘンタイ」 そして、すぐさま零ちゃんは歩調を上げた。 マズイと感じて俺も歩調を上げる。 「ごめん、悪かったよ。不埒な目で見てさ」 「…………」 「おい、……」 「……」 返事がない。 「わかったよ、なんかいうこと一つ聞くから」 意外とへそ曲がりな零ちゃんはこうでも言わないと一向に折れない。昔からこんな感じだった。 効果があったのか、ピタッと足を止める。俺もある程度の距離を保って、歩を止める。零ちゃんが振り返ったその瞬間──足を滑らせてこけた。 「いた……」 「おい、大丈夫か?」 「大丈夫、……ッ!」 どうやら足を捻ったらしい。痛所をさすりながら零ちゃんが俺を見上げる。 「おんぶ……して」 それが彼女のお願いとなった。 妙にクールな零ちゃんにギャップを感じてしまいついつい笑ってしまう。 素直に零ちゃんにお願いされるのはどんなことであれ、嬉しい。 「いいよ、わかった」 気軽に了承する。零ちゃんは多分そんなに重くないと信じている。
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