それぞれのプロローグ

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「レン、話がある」 僕は育て親のアロラさんに呼び出された。 「なんですか?」 アロラがこんなに真剣な表情で話をするなんて初めてだった。 なんだか嫌な予感がする。 「実は、仕事の話なんだが…」 仕事? 「大五貴族からの直接依頼が来たんだ…」 大五貴族ッ!! その言葉を耳にした瞬間、僕は体から憤怒のオーラを出してしまう。 僕は貴族の生まれだ。 大五貴族の頂点に立つ、『ライト家』の跡継ぎとして生まれた。 『ライト家』は光を扱う家計だったが、僕に光魔法の才能が無かった…。 それどころか光と対なす『闇』属性の才能を秘めていた僕は 五年間に及ぶ虐待の末、魔境と言う立ち入り禁止区域に捨てられたのだった…。 「すまない…。お前の過去は知っているがどうしても断れない内容で…」 アロラさんは昔、ギルドで風帝の2つ名を持つ実力者だった。 今でもその名残があり、強力な発言力、つまり地位と権力がある。 そんなアロラさんが断れないなんて…。 「国王も加担して、お前を魔法学校に入学させようとしているんだ…」 魔法学校に入学。 あ、そういえば… 「お前、学校に行ってないだろ?そこを付け込まれてな…、入学しなきゃ国外退去とまで言っている…」 確かに国民全員、15歳になったら学校に通わなきゃならない。 いくらなんでも、横暴すぎるんじゃないか…。 「すまないが…やってくれるか?」 大五貴族は憎い。 しかしアロラさんを裏切る理由にはならない。 「わかったよ、アロラさん」 僕は渋々入学に同意した。 ☆ ☆ ☆  
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