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昼休みの先輩の我が儘をなんとか凌ぎ切り、学校も終わった放課後。
先輩が校門前での待ち合わせを強く望んだが故に、そこで待ちぼうけを食らう事30分。本人の言い訳曰わく「寝てました、てへ。だって午後の時間は暇なんだもん」ハートマーク付き、らしい。
というのがさすがに頭にきたので、後輩である身だがチョップ一閃を喰らわせてやり反省させてやった。たまにはこういう制裁を喰らわせてやらないと。
ただ、体が赴くままに移動して行って、バスに揺られて中心区へと差し掛かったというのにだ。
「グスン、鳴家君に手を出されたぁ……いたい」
いつまでもメソメソ嘘泣きをされ続けられなければならないのか。おかげで先ほどから「手を出された」「いたい」の言葉でノイローゼになりそうだ。
連れて来たのを激しく後悔した。いくら体が選んだ事であろうと、自分の意志で拒めば良かったなと思ったよ。
このまま耳元で繰り返し囁かれかねない呪いの言葉。一向に止む気配がなく、このままでは精神科に通わなければならなくなりそうで、なんとか止めさせなければ。
「先輩、どうしたらその下手な嘘泣きを止めてもらえますか?」
「手出され――――うん、そうだね」
あ、止めてくれた。
よし、このまま調査を開始しようと思い歩を進めたら、「待つ。まだ何も言ってないよ」と服を掴まれて、制止させられる。
そうして、考えがまとまるまで動かしてもらえなくて。ようやくの事、まとまった答えときたら。
「チョップされた所をなでなでしてくれたら泣き止むよ」
なんて言われた。
……公開処刑ですか金科先輩。
付き合い切れない。もう付き合ってたまるものか。このままここに置いて行ってやろうと意志が固まったのに。
手が金科先輩の頭を撫で始めやがった。
「えへへ、えへへ~。嬉しいな有難う」
処刑されてます。えぇ、処刑されている気分ですよ。
周りから冷ややかな視線が、特に1人でこの場にいる男共の嫉妬の視線が背中を焦がす。精神的に身が削れる。
先輩が満足するまでこの羞恥プレイは続けられ、「うん、満足」なんて満面な笑みを浮かばれ腕に抱きつかれた。
背中が更に焦げて殺気が混じり始めた。誰かこの状況から助けて下さい。
心内で泣きながら、体が進むままに街の中心地へと歩いていく。
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