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「愛美ー!!」
大好きな声が私の名を呼ぶ。
振り向くと、いつもみたいにジャージ姿の昂が息を切らせてこっちを見ていた。
『走ってきたん?自転車は?』
昂は私の座っているベンチの右隣に座り、息を整えながら地面を見ていた。
「自転車兄貴が使ってるから走ってきた~!」
『そーなんや?お疲れ。』
「愛美さぁ…」
『ん?』
「……き」
『なんて?』
「好き?俺のこと」
『なんで急に?(笑)』
「なんとなく!!聞きたくなっただけ~」
『まぁ普通の男友達よりはちょっと好き』
「なにそれ俺泣いていい?(泣)」
『あはは(笑)』
「あははちゃうし!w」
『ごめんw好きやで』
「めっちゃ…?」
『うんw』
そう言うと昂は満面の笑みでこっちを見る。
「じゃあ俺とアヤちゃんやったらどっちが大事~?」
(アヤは私の一番の親友)
そう聞く昂の顔は勿論自分を選んでくれるだろうと自信満々の笑みを浮かべている。
そんな昂の期待を裏切るように私は即答で答えた。
『アヤに決まってるやん』
「えぇーー!!??」
すごい顔をしてこっちを見る
『ぷっ…あはは!!笑』
「なんやねん」
『別に?昂やで!って言ってほしかった?w』
「別にええし。俺は同じこと聞かれたら愛美って言うけどな。」
そう言った昂の顔は少し真剣で
私はなにも言わずに黙っていた。
その日の昂は少し変で、なんだか独りぼっちの寂しい子供みたいだった。
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