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桜舞い散る道を、一人の青年が、歩いてくる。
若干、神経質そうにひそめられた眉、
細身ではあるが、よくよく注意して見てみると、獰猛な体つきをしているという事が、何かしらの武道をそれなりに嗜んでいる者には、分かったであろう。
髪は全体的に、短く切りそろえられており、黒い髪が日の光を浴びて、賞揚としている。
彫りが少し深いが、嫌みな感じを、与える程ではない。
整った顔付きである。
その顔の中でも、特に彼を印象的にさせているのが、ガーネット石を埋め込んだのかと、見間違うかのような、その瞳だ。
赤々と輝くその瞳が、元々一目を引きやすいであろう、彼の姿を一際目立つものにしている。
歩きながらも彼の視線は、前から少しも逸れたりはしない。
まるで何か非常に大切な、使命に追い立てられて、必死で歩いているかのような、
また、別の見方ををしたならば、威風堂々として、自信にみちた、
しかし、余裕の無いような…
つまり、見ようによっては、また見る人によって、かなり異なる解釈をされるであろう、人物のようであった。
桜の花びら達を引き連れて、風が、一陣吹き抜けた。
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