オオカミ少女

3/6
前へ
/196ページ
次へ
 大人の都合が、子供の 世界に影響を及ぼす事は良くある。  「美紀、綾ちゃんと同じクラスになったんだって?」  「うん、そうだよ」  美紀は無邪気に頷くが、この後で彼女は大人の一方的な宣告を真に受けて最悪な道を選択してしまう。  「綾ちゃんの家族はね、パパの知り合いの人にウソを付いて迷惑をかけたんだ。美紀もね、そんな人と関わっちゃいけないよ」  幼く無邪気な子供に取って、親の言う事が進むべき道標になる。例えそれが正しくなくても……  その日美紀は、自分の 部屋に戻りパパから言われた言葉を考えていた。  綾ちゃんと同じクラスになれてうれしかったけど、あの娘はウソ付きで仲良くしてはイケないんだ!  疑う事を知らない素直さは、時として最も残酷 な行動へと駆り立てる。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加