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それからしばらく二人で泣き合った後、自然と笑顔になった。きっと、お互い8年分の肩の荷が下りたのだろう。
「ねぇ、凛。今幸せ?」
「なに、いきなり」
「恋人いるんでしょ?」
「恋人?」
またまた、勿体振って~
「噂で聞いたの。職場の男の人が凛にアプローチしたとき凛が恋人がいるって言ったって」
「あ~、あれ...」
あ~って..結構重大なこと忘れてるぞこの人。
「あれさ、その....は..華のことだったりして」
「ん?私?どういうこと?」
「ダメ?」
「だっ..ダメじゃないけどさ..えっ、何で?どうして?」
てか、その上目遣いは反則だってぇぇぇ!
「あの時、さようならって手紙には書いたけど別れるなんて言ってないし....ネックレス...」
「ネックレス?」
すると凛は首に付けていたネックレスを私に見せた。
「あれ?私と同じ...」
「このネックレスね、私と華でペアルックなの」
「そうだったんだ」
「華がネックレスしてくれてるの知った時、やっぱり私には華しかダメだって思った」
「凛..」
外す訳ないよ。ペアルックならなおさら。
「でもさ、華は?恋人いないの?」
「いないけど?」
「そうなんだ...」
「どうして?」
「え....あの....だっていつも向井さんと仲良くしてるし...」
向井さん?
「花音のこと?」
「うん....」
少し俯き気味になる凛。
「花音は違うよ!あれはただの同僚だから!」
とんでもない勘違いをしている…
「だって歓迎会の時も、ひざ枕してたし...二人で先に帰ってたから」
「あの子は酒癖悪いからさ、面倒見れるの私ぐらいしかいないんだよ」
「そうなんだ...」
「えっ....まさか...嫉妬?」
「だって、私でもしてもらったこと無いのに...」
久々に拗ねてる凛を見た。
可愛い…
「私が好きなのは昔も今も凛だけだよ」
「本当に?」
「でも、私を許してくれるの?」
そう言うと、凛は少し目を伏せた。
「華がしたことは許せないけど、それ以上に好きなの」
きっと、私以上に葛藤をしていたのだろう。じゃなきゃ、8年もたった今こんな…
「私も。凛が好き。私も凛しかダメだよ」
「華」 「凛」
私達は8年ぶりにお互いの体温を感じた。
私は腕の中にいる愛しい凛を二度と離さない。
「あっ華。会社ではちゃんと"主任"ってよんでね」
「てかさ、凛出世しすぎだし。どうやったの?」
「秘密」
END
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