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こんな私でも一応現役の高校生。
毎朝、一緒に登校していた凛は待っていても現れなかった。
「そりゃあそうだよね」
彼女がいない朝がこんなにも辛いなんて思ってもいなかった。長い期間一緒にいるとそれが当たり前になって、いざ居なくなると大切さが痛いくらいに分かった。
学校に行ってもし凛と会ったらどんな顔をすれば良い?いや、凛はどんな顔をするんだろ?しかも、同じクラスって....
一人で葛藤していると、いつの間にか学校に着いていた。
教室に入って友達と挨拶を交わす。でも、私の頭の中は彼女のことでいっぱいだった。
机に顔を伏せて凛が来るのを待った。
「おいっ!おはよう朝だぞ」
この声は凛じゃない。
「何よ御子?」
「うわっ!ひどい顔してんね~」
「うるさいわね!」
KYすぎる友人に泣き腫らした顔をいじられる。
「そういえば昨日の合コン!どうだった?」
「どうって...」
まさか、恋人を裏切ってとケンカ中なんて言える訳がない。
まぁ、ケンカっていえばそうでもないような気がするけど。
「別に普通だったよ」
「ふ~ん、私も行きたかったな~」
ぷ~っと頬を膨らませ分かりやすく拗ねる御子の相手を、今はする気にはならない。
キーンコーンカーンコーン
「あっ、チャイムなった。ほんじゃまた!」
ほいっと手を挙げて自分の席に戻る御子。
お気楽な奴。でも、今日だけあの子になりたいわ。
ガラガラと扉が開くと先生が入ってきた。
あれ?そういえば凛がいない。休みかな?
「は~い、席に着いて」
朝の挨拶をしてSHRが始まる。
「今日はみなさんに報告があります。このクラスの城崎凛さんは家の事情で転校しました」
えっ?転校?!
教室中がざわめき出す。
「本人には黙っておいてほしいと言われたので言いませんでした。突然で驚いたと思うが…」
その後の先生の話は全く頭に入ってこなかった。
SHRの後、急いで凛のロッカーを調べると、綺麗に無くなっていた。
いつの間に...
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