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何が何だかわからず戸惑っていると、後ろから肩をたたかれた。振り返ると、凛と仲が良かった明子ちゃんが気まずそうな顔をして立っていた。 私と凛の関係を知っているただ一人の友人。 「これ」 突然、無地の白い封筒を差し出される。 「昨日凛がウチのところ来てさ華に渡してって。何があったか知らないけどさ、凛のあんな顔見たの初めてだったよ」 あんな顔…。その顔を容易に想像してしまえる。 そんな顔にさせたのは紛れもなく私だ。 「ゴメン」 「ウチに謝られても困るんだよね」 封筒を受け取ると、「じゃあ」と明子ちゃんは自分のクラスに戻っていってしまった。 渡された封筒を覗いてみると手紙が入っていた。 今すぐ読みたかったけど、ここで読んで、もし泣いてしまうようなことがあったら大変だ…。 とりあえず鞄の中にしまって、帰ってから読むことにした。 § 家に着くなり自分の部屋に閉じこもり、封筒から手紙を取り出す。 「ふぅ~」 深呼吸しても、なかなか心臓が落ち着いてくれない。 覚悟を決めて手紙を開くと、きれいで整った、大好きな凛の文字が連なっていた。 "親愛なる華" まず、誕生日おめでとう!! ホントはね昨日サプライズで驚かそうと思ったんだけどね、華が忙しそうだったから(笑) プレゼント、玄関に置いてあるから! 転校することも伝えようと思ってたの。もっと早く言いたかったんだけどさ、私も急に言われて...ゴメンね。 私、華には幸せになってほしい。私は華の笑顔が好き。 だから笑ってほしい。 大好きだよ華。 さようなら "城崎凛" 恨みつらみ書かれてるんじゃないかと思ってた。でも私のした最低な行為も笑い話にして...大好きだなんて... 馬鹿だ..私はなんて馬鹿なんだろ.. 「うぅ…、凛……」 そういえばプレゼントって.. 玄関に行くとそこには可愛くラッピングされた箱が置いてあった。 「いつの間に...?」 開けてみるとネックレスが入っていた。それはいつしか二人で出かけた時に私が可愛いと言ったネックレスだった。 私なんて自分の誕生日すら忘れて... 悔しすぎて涙がとめどなく流れ出てくる。 その日の夜は眠れなかった。
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