第1部

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僕が家に着いたとき既に雨はすっかり止み、暖かくなったアスファルトが雨水をかすかに蒸発させていた。 そのアスファルトの匂いが妙に心地いい。 こういう日になるといつもあの時のことを思いだしてしまう。 今思えば、あの時のことが果てしなく遠く感じる。 あの時、もっと何かできなかったのかと悔やんでしまう。 でもやっぱり、あの頃の俺に何かを変える力は持ち合わせていなかったのだと思う。 何回それを繰り返したところで変えることはできないのだ。 でも今からならできるかもしれない。 今迎えに行くよ…
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