転機

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◇ 『キャッチボールをしよう』 そう、いきなりメールを送り付けてきたのはマネージャーだった。 夏休み中暇だったし、特に断る理由は無かったので快く引き受けた。 マネージャーは到着するなり、柔軟をしようと言いだし、これまた断る理由は無いので、しっかりと身体をほぐしていく。 筋を伸ばしていく感覚が心地よく、身体がゆっくりと溶けていく。 ところがしかし、何を思ったか、背中に、意識的に『当てて』きているのがわかる。 夏だ。 薄手だ。 俺も男だ。 それは考えてしまっても仕方ないだろうと思う。 とりあえずその場を乗り切って、キャッチボールを始めることに。 大きくゆったりとしたフォームから、これまたゆったりとボールを放つ。 緩やかな放物線を描く白球はマネージャーのグローブへと吸い込まれ、小気味よい音をたてる。 「ストライク!」 マネージャーが弾んだ声をあげた。
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