24人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっ?ほ、本当か?」
「嘘言ってどうする。」
「もう取り消し無しだからな?」
「はいはい。もう上がろうぜ」
その日グローブを渡したら、マネージャーはおもちゃを与えられた子どものように顔をぱあっと明るくさせ、その後はニヤニヤに程近い笑顔でいた。
それほどまでに、決して建前ではなく、美濃へのプレーに惚れ込んでいた。
打球反応のスタート、
低姿勢からの数歩の加速、
捕球直前の摺り足、
捕球音さえしない柔らかいグラブタッチ、
捕ってからの流れるステップ、
無駄の無いサイドスロー……
プロを見たかのように電撃が走った、
プロでさえそこまで感銘を受けない。プロなら当たり前だし、その当たり前が出来ないプロも多数存在する。
だが彼はどうか。
近くにいたのだ。こんなにも。それも同い年で。
そして、初めて自分よりも上手い選手を見たということも。
最初のコメントを投稿しよう!