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「うー…だって、花音(カノン)ちゃん!」
プルプルと、子犬が必死に唸るような口調で私の名前を呼ぶと、今度は私の元へと駆け寄ってくる。
「結花ちゃんが教えてくれないんだもんっ!」
そして、むっとした顔で私を睨めばそう怒鳴り付けた。
最も、可愛い系とか癒し系とかに部類されるであろう顔のあやめがそんな顔をしたって、迫力の欠けることなんの…
むしろ、ムダにふわふわしてる髪の毛がぴょこぴょこ跳ねて可愛いとしか思えないし。
「って言ってるけど、結花?」
確かめるように私が話を振れば、文庫本に目をやったまま結花は答えた。
「…バカに付き合う暇はない。」
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