送信MAIL1:木野原 あやめ

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「呼んだ、秋園(アキゾノ)?」 私がそいつ―――瀬川 彰(セガワアキラ)を呼べば、廊下から教室の窓に身を乗り出してそう言った。 成績優秀、運動神経普通。 サラリとまとめられた肩までの黒髪はうねりもなく、男子にしては綺麗な方。 顔も体型も対して特徴はないんだけど、人徳なのか、何かと人気者な優等生。 それが瀬川 彰だ。 ちなみに、秋園 花音(アキゾノカノン)は私の名前。 「呼んだ呼んだ。  だからちょっと来なさい!」 手招きをすれば、ヘヘッと笑って返事をして、瀬川は私たちの所へと歩いて来る。 「!」 それを見て血相を変えるあやめ。あからさまにビクつき始めればザザザーっと、スゴい勢いで後退(あとずさ)る。 教室の壁までの距離なんてたかが知れてるのに。 まったく、わかりやすい反応だ。
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