~ 絶望の惑星 ~

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 ――双子惑星アルテッツァ。  ――その星の一つ《ゼウス》。  広大な大陸の一つに、《ガネーシャ》という都市国家があった――。  ――誰が呼んだか、都市の別名は《絶望都市》。  その空は、工場が吐き出すスモッグで暗黒に包まれ、街並みは荒廃し、建物は至る所が風化し、瓦礫の山と化していた――。  人々は暗く打ち拉がれ、生きる気力を無くしていた。  一際高いビルの窓から、白いスーツを着こなした白髪の眉目秀麗(びもくしゅうれい)の青年が一人、街を見下ろしていた――。 「どうして、こうなってしまったのか……。  祖父の代から受け継いだこの国家――。  我等の未来も、もはや風前の灯火か……」  青年の名は《ヒカル=天宮》(あまみや)。  この国家を作り上げた、若き天才実業家であり、科学者でもあった。
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