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操縦席のモニターに、彼の顔が映し出される。
「準備は良いかね、ジェイド君……」
「実に快適な機体で、こちらはいつでも宜しいですよ――」
《グリフォン》と名付けられた機体のコンソールに指を滑らせ、転送準備を完了させた僕は、操縦桿を握り応える。
「では、こちらも転送準備を完了させるとしよう――」
モニターから、彼の顔が掻き消され、暫しの静かな時が訪れる。
「どのような阿鼻叫喚で、僕を誘(いざな)ってくれるのか……。
実に楽しみだよ」
歓喜に打ち振る得た僕は、漆黒の機体と共に黄金色の粒子に包まれると、転送装置から姿を消した。
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