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私は必死でした。
ユイに消えろと叫びながら必死に携帯を取り出し、家族・親友・友達・職場の仲間、自分をなんとか励ましてくれそうな人々に電話をかけようとします。
しかし携帯の画面ではその人達のところだけ暗くなっていて、選択出来ません。
私が選びようない人達の番号しか選択出来ない携帯に私は絶望しました。
でも今負けたら終わりだ―――。
それだけは分かっていました。
だからずっと、お前なんかに負けない、ここから出ていけ、と繰り返し念じ続けました。
しばらく膠着状態が続くとユイは作戦を変えてきました。
先ほどの上司の言葉や、私がどん底だった瞬間の光景を私の頭の中に見せてくるのです。
ユイの高笑いが聞こえます。
私は声が枯れるくらい叫びました。
もう、やめて―――!
帰れよ!帰ってくれ!!
ギリギリの闘いでした。
しばらくするとユイの高笑いが遠くに聞こえて来て、次の瞬間小さく舌打ちが聞こえました。
ちっ。今日は無理か―――。
次の瞬間、私は天井を見ていました。
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