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今、数人の男女を泣き落としで特攻させようとしたのが……秋山彼方だ。
改めて言うのは恥ずかしいが……私の親友だ。
元々は武司と言う名の男だったんだが、父さんの薬で女の子に変えられてしまったのだ。
とはいえ私とは違い、彼方は自分で望んだ事なんだ。
何故なら……。
「さぁみんな!幸せの為に……」
彼方が最後の一押しとばかりに、何かを言おうとした瞬間だった。
「おや……?皆さん何か楽しそうですね」
ふらっと海人が現れたのだった。
そしてこれまた瞬間的に彼方の態度も一瞬で変化した。
「あ!海人ーっ!」
パァッと表情を明るくさせた彼方は、海人の腕に抱き付いた。
……まぁ、ようは彼方は小さい時に海人に惚れたらしいんだ。
武司の時、誤魔化し誤魔化しやっていた反動なのかは知らないが、彼方になってからはそれはもう海人にベタベタだ。
その間彼方信者が、ずーっと海人を尋常ではない程に睨んでいるがな。
「今日も皆さん元気ですねー」
それを笑って見れる海人は流石だと思う。
村雨海人、世界的企業の村雨財閥の御曹司。
けど、そんな自分を海人自身毛嫌いしているし、なにより今はもう私達の大事な友達だ。
ふとチラリと此方に目配せした海人は、小さくウインクした。
それに私も笑顔で応えるのだった。
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