1章「出逢い」

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(秋咲篠夏side) 私は子機を置いて、ふぅーと息を吐いた。 初めて日和君と電話をした…電話越しの彼の声は、思ったより少し低くて、カッコ良かった。 それに…日和君の手料理。 料理もできる男の子って、本当にカッコ良いなって思う。 やっぱり、日和君は凄い。 何て思っていると、私の携帯画面がピカピカと点滅していた。 スライド携帯だから、画面が剥き出しになっていて、良く画面に傷がつく… 私は携帯をスライドして、オートロックを外し、メールを開いた。 すると、受信履歴には30件以上のメールが受信されていた。それも、全て知らないメールアドレスからのもの。 一番新しいメールを開くと、予想通りの内容だった… [お前、生きてる価値無いよ] たった一言。 絵文字もない、ただの一文。 そして再び携帯が点滅する… 私は携帯の電源を切って、鞄の中にしまった。 息苦しさを感じ、私は水を飲んだ。 胸に突き刺さる痛み。 頭が割れる程の頭痛。 全て出てしまうと思う、強い吐き気。 泣いても泣いても枯れない涙。 何時まで続くのか。 原因はなんなのか。 何で誰も助けてくれないのか。 考える度、答えは一向に見つからない…いや、私だから答え何か無いんだ。 親に嫌われ、祖父母に見捨てられ、友達に裏切られ… 信じていた先生にも、裏切られた。 私は…独りぼっちなんだ。 泣かないと何度も決めたのに、流れてくる涙…私は何時ものように筆箱からカッターナイフを手に取り、手首の上を、ゆっくり滑らせた… チクッとして、次第に滴る赤い血… 涙がしみて、痛みが増す。 「っ……」 私はカッターナイフを床に置いて、膝を抱えながら身体を丸めて座った。 「日和…君……」 そう呟いた声は、虚しく部屋に響いた。  
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