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(秋咲篠夏side)
私は子機を置いて、ふぅーと息を吐いた。
初めて日和君と電話をした…電話越しの彼の声は、思ったより少し低くて、カッコ良かった。
それに…日和君の手料理。
料理もできる男の子って、本当にカッコ良いなって思う。
やっぱり、日和君は凄い。
何て思っていると、私の携帯画面がピカピカと点滅していた。
スライド携帯だから、画面が剥き出しになっていて、良く画面に傷がつく…
私は携帯をスライドして、オートロックを外し、メールを開いた。
すると、受信履歴には30件以上のメールが受信されていた。それも、全て知らないメールアドレスからのもの。
一番新しいメールを開くと、予想通りの内容だった…
[お前、生きてる価値無いよ]
たった一言。
絵文字もない、ただの一文。
そして再び携帯が点滅する…
私は携帯の電源を切って、鞄の中にしまった。
息苦しさを感じ、私は水を飲んだ。
胸に突き刺さる痛み。
頭が割れる程の頭痛。
全て出てしまうと思う、強い吐き気。
泣いても泣いても枯れない涙。
何時まで続くのか。
原因はなんなのか。
何で誰も助けてくれないのか。
考える度、答えは一向に見つからない…いや、私だから答え何か無いんだ。
親に嫌われ、祖父母に見捨てられ、友達に裏切られ…
信じていた先生にも、裏切られた。
私は…独りぼっちなんだ。
泣かないと何度も決めたのに、流れてくる涙…私は何時ものように筆箱からカッターナイフを手に取り、手首の上を、ゆっくり滑らせた…
チクッとして、次第に滴る赤い血…
涙がしみて、痛みが増す。
「っ……」
私はカッターナイフを床に置いて、膝を抱えながら身体を丸めて座った。
「日和…君……」
そう呟いた声は、虚しく部屋に響いた。
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