1章「出逢い」

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  何時もの挨拶。 周りのみんなは普段と変わらない。 ま、芸能人なんかみんなそうかな…自分を隠している人が殆どだ。 その中の1人は、この僕だけどね。 廊下を歩いていると、芸能科と普通科を繋ぐ渡り廊下に人が溜まっていた。 この渡り廊下は、普段あまり使用しないから、こんなに人が溜まるのは珍しい… 僕は少し様子を見るため、近づいてみた。 「あ、水稀」 「日阪君、どうしたの?」 同じ事務所で俳優をやっている日阪君に聞いてみた。 日阪君は中央を指差しながら、険しい顔つきで言った。 「普通科の女子が、用あって芸能科に来たらしいんだけど、運悪くあいつらに捕まって…」 指差した方を見ると、今アイドル活動している尾山さん達が1人の女の子を囲んでいた。 確か尾山さん達は女子の中でも一際目立つ子で、裏ではライバルを虐めてるとか何とか噂で聞いた。 また下らない虐めをやっているんだろう… 「一般人は立ち入り禁止よ!!」 「わ…私、みっ水稀…日和…君に…用が」 「黙って帰んなさいよ!!」 そう尾山さんが怒鳴ったのが聞こえた。女の子が言った言葉は聞こえなかったけど、どうやら尾山さんを怒らせたらしい… 女の子は涙目で走って普通科の棟に戻って行った。 でも、小さな声だったけど、確か僕の名前を言っていた気がした……空耳かもしれないけど。  
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