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何時もの挨拶。
周りのみんなは普段と変わらない。
ま、芸能人なんかみんなそうかな…自分を隠している人が殆どだ。
その中の1人は、この僕だけどね。
廊下を歩いていると、芸能科と普通科を繋ぐ渡り廊下に人が溜まっていた。
この渡り廊下は、普段あまり使用しないから、こんなに人が溜まるのは珍しい…
僕は少し様子を見るため、近づいてみた。
「あ、水稀」
「日阪君、どうしたの?」
同じ事務所で俳優をやっている日阪君に聞いてみた。
日阪君は中央を指差しながら、険しい顔つきで言った。
「普通科の女子が、用あって芸能科に来たらしいんだけど、運悪くあいつらに捕まって…」
指差した方を見ると、今アイドル活動している尾山さん達が1人の女の子を囲んでいた。
確か尾山さん達は女子の中でも一際目立つ子で、裏ではライバルを虐めてるとか何とか噂で聞いた。
また下らない虐めをやっているんだろう…
「一般人は立ち入り禁止よ!!」
「わ…私、みっ水稀…日和…君に…用が」
「黙って帰んなさいよ!!」
そう尾山さんが怒鳴ったのが聞こえた。女の子が言った言葉は聞こえなかったけど、どうやら尾山さんを怒らせたらしい…
女の子は涙目で走って普通科の棟に戻って行った。
でも、小さな声だったけど、確か僕の名前を言っていた気がした……空耳かもしれないけど。
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