赤い紅い悪魔

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強さ、賢さ、種族、能力。 あらゆるものを使い、 確固たる地位を築く。 それがこの世界においての力で、 それは既に『アタリマエ』に なっている。 「咲夜、前頼んどいた件は どうなった?」 「レミリア様の思惑……… いえ、運命通りになっています。 あと一週間も持たないでしょう」 霧の湖のすぐそこに建てられた、 紅い洋館。 そこに住む、レミリア。 ナリは小さいが、 彼女はここら一帯の領主だった。 「来るものは拒まず、 去るものは追わず」の方針は 領地に住む民には受けが良く、 大きな支持を持っている。 彼女の傍らにはいつも 咲夜と呼ばれる人物が居る。 人間だという話だが、 彼女の行動から、少々疑わしい。 館の管理は殆ど彼女が一人でし、 面倒くさがりのレミリアは 咲夜に全て丸投げ。 つまり、領主としての仕事は レミリアがしているが、 館という面で見れば、事実上 仕切り役は咲夜。 「御茶をお持ち致しました。」 「ああ、ありがとう。」 手渡し、踵を返した、まさにその時だった。 「うっ…」 咲夜が胸を押さえ、 苦しそうに俯く。 「咲夜!?」 「す、すみません……… どうやらまた始まった様です。」 レミリアはすぐに他の従者に 声をかける。 「ほら、立てる?」 手を差し伸べてやる。 弱々しく握りかえし、 よろけながらも立ち上がった。 「発作はまだ治らないのね」 「最近は殆ど無く………くぅっ」 持病なのか、息を切らして 見るからに衰弱する咲夜。 「う゛………かはっ」 口から本来出る筈の無い、 真っ赤な血が咳き込みと 同時に飛び出す。 顔色も悪くなり、膝をついた。 ちょうどその時、 従者が薬を持って駆け込んだ。 すぐさま薬を飲ませ、 口の血をハンカチで拭い、 ベッドに寝かせる。 「れ、レミリア様………」 「ったく。発作が無くなった所で治った訳じゃないんだから、 薬は常に持っときなさい。 何のための『常備薬』よ」 きつい口調とは裏腹に、 優しく額に手を添える。 かなりの熱があり、 まだ息も切らしていたが、 徐々に薬が効いてくるだろう。
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