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「本当、付き人がこうされるって
笑えないわね。
お陰で私の貴重なティータイムが
咲夜の御守りタイムに
なっちゃったじゃない」
申し訳ありません、と咲夜。
レミリアは軽く笑った。
「いいわ。咲夜を独り占めできると考えれば。」
「いつもの事じゃないですか。」
「何を言う。視察で出てみろ。
咲夜に釘付けの領民の、
多いこと多いこと。」
溜め息一つ。
それは自分が見られていない事の
不満も混じっているのだろう。
「最近貴方働き詰めだったしね。
丁度いい機会だ、今日はこのまま休め。」
「え、しかし………」
言うより先に、レミリアが
割り込む。
「仕事なんてさせないわよ?
足プルプルの今の咲夜に
屋敷うろつかれたら困るのよ。」
少し考え、咲夜は
「足手まといですか?」
「や、良からぬ輩に襲われるから」
一蹴。
ぱっと立ち上がり、伸びをする。
「じゃあ私は仕事に戻るわ。
安静にしとかないと、また面倒になるんだから休んでろ。」
パタン、と扉が閉まる音。
ふぅと咲夜の溜め息。
「時間止めてインチキするなよー」
くぐもるドアの外の声。
ちょっぴりドキッとする。
しかし、すぐに無表情に戻る。
無理だった。
どうしても頬が染まり、
ぺちぺちと頬を叩く。
駄目だ、嬉しくて頬が緩む。
あの人の前で
こんな顔をしてはいけない。
主の風格が害われてしまうからだ。
その主が襲ってこないように、
という意味もある。
まだ熱で頭が回らない。
咲夜はぼすりと頭を枕に埋め、
そのまま眠りについた。
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