赤い紅い悪魔

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大きな湖のすぐ近くにある、 大きな屋敷。 領主レミリア率いる、 スカーレット家。 その富には 裏付けされた力があった。 咲夜が撫でられた頭の感触を 思い出している時、 その主は部屋で 溜め息をついていた。 人形のような整った顔を 面白くなさそうにしかめて、 新聞に目を通している。 「あ~あ……」 ぶすりと指が写真を貫く。 「写真みたいにこいつも さっさと貫いちゃいたいわ」 なんてことはない、 こういった仕事をしていると 面白くない事件は新聞を探せば いつでも大抵見つかる。 日課にも似た不機嫌。 穴の空いた新聞を投げ捨てる。 空いた窓から急に侵入した風が、新聞紙をゴミ箱に叩きつけた。 写真立てに視線を移す。 「……はぁ」 また溜め息。 自分の隣に写る笑顔を、 生で見たのはいつだったか。 何年も前だった気がする。 仕事を早く終わらせると、 その分自由時間が空く。 ただ、今の自由は 退屈と何ら変わりなかった。 「暇ね」 外に目をやる。 遠くの村が何やら騒いでいた。 目に力を集中させて、遠くを凝視してみた。 血塗りの煉瓦と火薬の黒煙、 倒れる住民。 歯軋りをして外出の準備をした。 従者の一人に車を出させる。 装備もある程度持った。 「何でこうなるんだか……」 赤髪の運転手は バックミラーの影に気付き、 車を止めた。 後ろから咲夜が走ってきていた。 「咲夜、ついてこいとは 言ってない」 「体なら大丈夫です。 薬も持ちましたし。 でも村なんかは薬じゃ 直りませんよ。」 真っ赤な拳銃をさしだす。 「お忘れ物ですよ。 大切な相棒を」 「相棒はあんただ。 美鈴、出しなさい」 運転手、美鈴は頷き、 アクセルを踏んだ。 「お嬢様、シートベルトを」 「いらない。 どうせ派手に飛び出すんだから」 「勘弁してください。 いつ撃ち落とされるかと 心配なんですよ?」
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