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ピーター.3
マットと名乗る男は、心を読む力を持っているらしい。
ズボンに銃が納まったホルダーがあり、上半身は裸。警官マニアかただの変態だろう。全く何なんだこの状況は。
しばらくピーターはこの男と小川に沿って歩いた。徐々に二人のものとはまた別の声が聞こえるようになる。ピーターは他にも人がいることに多少ばかり安心した。
声の発信地を辿ると、更に上流の方から聞こえるようだ。
「あっちに行ってみるよ」
「俺も行く」
マットは尚も付いて来た。得体が知れないが話せる人間がいてもいいか。
声は、小さなログハウスの中から発せられていた。
『これは何だ、何かが起こっている』
「俺も聞こえた」
マットが言う。
ピーターは小さな階段を登り、玄関で一呼吸置いてから扉を開く。
中の様子を確認すると、白人男性が1人で…銃をこちらに…向け…
…撃たれた。
銃声が森林へ響く。
ピーターは土手っ腹に見事に食らった。息が苦しくなる。
「奴らか!?」
興奮した白人男性が狩猟用の銃を構え続け、怒鳴る。
「何するんだ!」
マットは立ち向かおうと、自分の拳銃を取り出そうとした。だが摩訶不思議な現状が更に起こる。
ピーターがむくっと起き上がったのだ。
「お前も再生するのか」
服に血が付いたピーターに向けた一言。
「い、いや…」
自分でも理解できなかった。腹を見ると、多量の出血に反して傷口は全くない。
「どうなってるんだ…?」
対して白人男性は答える。
「奴らの仲間ではないようだな、すまない。俺はアダム」
男は二人をログハウスの中へと促した。
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