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ヒロ.1
眼鏡が割れていた。
自分はゴツゴツした岩に仰向けで倒れている。
身体には特に怪我などはなかったが、ひどい頭痛がした。
「んー…」
視力が悪く、自分がその上に横たわっている大きな岩と、それがずっと高くまで続いているという事くらいしかわからない。
下方をよく見ると信じられない高さがあった。
よく見えないが、あれは川か…?
風も意外に強く、運が悪ければ奈落の底へ真っ逆様だ。
「ビックリした!」
慌てて顔を引っ込める。
空は快晴。
鳥も飛んでいる。
どうやらヒロはグランドキャニオンのような草木の生えていない無機質な岩山に、それも山の中腹辺りで居眠りをしていたらしい。
勾配の急な斜面は登ることは不可能。
かといって落ちるわけにはいかない。
「…何で?」
一体何が起こったのだろう。辛うじて覚えているのは、自分が中村ヒロである事と…
そうだ。
時間を止められる…!
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