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マット.1
危うく溺死するところだった。
彼は警官の服装をし、ホルダーには一丁の銃が納まっている。
塩分が含まれていないので、ここは湖か何かだろう。
大型の岩がそこら中に転がる浜辺まで、必死に泳いだ結果だ。命はまだある。
しかし何も覚えていないところを見ると、記憶障害に陥った可能性がある。
俺はどうしたんだ?事故にでも遭ったのだろうか?
湖と思しき水溜まりは周囲の山々をまるごと映写し、美しかった。
「これがただの湖なら、川があるはずだ」
一先ず上流を目指そう。
考えに考え抜いた己の道標が、これだった。
制服の上着を脱ぎ、両手で絞ると水が勢い良く垂れた。
ゴツゴツの湖沿いを少し歩くと、川が見えてきた。
ここで彼は何かを聞いた。
『ここはどこだ?何も覚えていない』
自分の考えと合致しているこの男の声は、マットの道標の先から聞こえた。
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