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マット.2
頭が爆発しそうになった。声が渦を巻き、ぎしぎしと内側から破壊する、そんな痛みが続いた。
「これは俺の声じゃないぞ」
上着はまだ絞った後なので、マットは上半身が裸の状態だった。
川の上流に誰かいる…
『あいつの仕業か!』
また頭の中に声が入り込み、出て行ったと思えば渦となった。
「うわァ」
マットはあまりの痛みに跪いたが、視界にいる男も同様だった。力を制御しなければ…
どうにかして落ち着くと、渦は消え去った。
「君は誰だ」
男が言った。
「俺はマット。今のはお前がやったのか」
「知らない。僕はピーター。ただ…他人と同じ事ができる」
彼はまだ頭を抑えていた。
なるほど。
読心に読心を重ねていた訳か。
二枚の鏡に挟まれた時みたいだ。
鏡は互いに反射し合い、不思議な奥行きが生まれる。
とにかくこいつの前では力を使えないな。
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