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ツリーを飾ったことがないと言ったら、作ってくれた。手持ちの紙で。喫茶店の狭いテーブルで。
それから、クリスマスには20余りのプレゼント。
ケーキ。マフラーに手袋。ネクタイ、セーター。スノードーム。絵本。ハンカチ。辞書。ノートにペン。小説。きれいな石。折り紙。靴下。お茶。銀のスプーン。キズ薬。花。
きれいなもの、暖かいもの、便利なもの、おいしいもの、お気に入りなもの。
サンタクロースみたいに荷物をいっぱいにして。
これだけで僕は一年しあわせに囲まれて過ごせそうだ。
端午の節句には、きれいな紙で折ったカブトを頭にのせて、丈夫に育てと言ってくれた。
あやとりを教えてくれた。
動物園にも水族館にも連れていってくれた。
映画も絵も一緒に見てくれた。
髪を切ってくれた。
昔話を教えてくれた。
菊酒を飲んだ。
豆まきもした。
ラジオ体操のスタンプを押してくれた。
僕が持ってないもの埋めてくれた。
忘れられる訳無い。
一年を一巡り満たしてくれて、僕は初めて子供な自分を味わってそしてさよならする。
でも一生には足りない。
さよならするから、もっといつも僕をどきどきさせて。
いまの僕を。
真っ白なツリーは机にしまうから、緑のモミの木を一緒に飾って。
くれたもの全部あたりまえのことにするから、あたりまえに一緒に遊んで。
もっともっと。
行事もイベントもアニバーサリーも。もっといっぱいたくさんあったらよかった。
溢れるほどに。
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