□終

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こころしずか。 誰の為でもなく居るからか。 ひらりと生きて行けそうだ。 ひらりと殺してしまわないよう、気をつけなければ。 うけねらいな性分だったらしいことを実証していたらしい。 でもほんとうは、どうでもいいことが多すぎて、そんな価値のわからない数多のものにいちいち向き合うくらいなら、自分ひとりで立って居る方が視線は定まる。 足元も常にかたい。 ギヤマンみたいにかたく生きていくだろう。 姿勢を崩さずに。 揺らぐ、うずくまる、転がる、はねる、 そんなものにはまって悦にいるのもありだけど、 それに繋がる世界の中に手が届かない。 遠い星にあるのか、足の下の箱の中にいるのか、とにかく。 こころしずか。 ようやくたどり着いたのかもしれない、廃れたのかもしれない、夢が霧散したのかも。 ともにあることが最強である気がしてた。 そうかもしれない。 外れてしまった。 最も、も何もなくとも、どちらでなくてもかまわない。 価値に序列をつける倣い性を眠らせてやる。 こころしずかにたつ。 生きてるかどうかだってもうどうだっていい。 さらりと吹かれて、立つ。 飛ばされもせず、形も変えず、時々瞼だけ閉じて、吹かれて立つ。 風の音だけ、他にはなにもない世界で しずかに
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