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白い部屋の中央には銀色のテーブルが設置され、その上に食器が所狭しと並べてあった。
壁には隣接するように流し台、コンロ、冷蔵庫、食器棚が取り付けられている。
四隅の一つにはかまどのような大きな穴。それは地下へと繋がっていて、あらゆるゴミが捨てられる巨大な廃棄処理場となっていた。
一見すれば、人間が料理をするための場所のようにも見えるだろう。しかし、それにしてはあまりにも部屋のサイズも一つ一つの器具も大き過ぎる。
「人間が」料理するのではない。
ここは、「人間を」料理するための場所である。
部屋には、1匹のグロテスクな姿をした異形の生物がいた。高さは人間の数倍はあるだろうか。仮に隣同士に並べたとしたら、大人と幼児以上の差があるはずだ。
その生き物の腕は4本。スラリと長く、昆虫のように途中で何度か折れ曲がっていた。その先の指は3つに分かれ、先端がかぎづめとなっている。背中にはやはり昆虫のような羽が生え、2本の足でこの部屋を忙(せわ)しなく歩き回っていた。
胴体はと言えばカブトムシのように黒光りし、頭部はまるで蜂のように三角形を逆さまにしたフォルムである。目はハエのような双翅目、口はカマキリのように尖り、その中から白い牙が見えている。
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