プロローグ

3/3
933人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
そして今、この生き物は、巨大な冷蔵庫から人間の塊を取り出した。人間たちは白濁液の入った銀色のボールに無作為に投げ込まれていく。 卵と水と小麦粉、片栗粉で作られた天ぷらの衣。塊はそこで真っ白に染められ、次に加熱された鍋の中へと入れられた。中には油がたっぷりと注がれており、一瞬でキツネ色へと変色していく。 揚げられた人間達は、巨大生物が持つ長い箸で取り出されるとキッチンペーパーの上に置かれた。辺りに香ばしい匂いが立ち込める。 さらに巨大生物は、また別の料理を作り始める。底の深いザル。そこに入っている人間達に手をつけた。彼らは凍っていない生(なま)の人間である。ただ眠っているだけの状態で心臓は動いているのだ。 一人ずつ横並びでまな板の上に置かれると、巨大生物が手にした大きな包丁によって、ズドン、と彼らは真っ二つに切り落とされた。辺りに血が飛び散るが巨大生物は気にも留めない。 途中で目が覚めイキが良く暴れまわる人間は、その場でつまみ食いされる。 数分後。 皿の上に細かく分けられた人間が置かれた。その横に野菜や果物と思われる物体が申し訳程度に添えられる。 これで完成したのだろう。巨大生物は満足そうに頷くと、その皿をどこかへと運んでいった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!