序 章 文明は痕跡を残す

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「標的は地下だったな」 少年は改めて探知用の魔法を発動しつつ、足を進める。 「ここら辺でいいか」 少年が立つのは、《三棟》の二階の廊下。 地下に通ずる通路なんてどこにもない。 しかし、少年はあと数秒もあれば地下に辿り着く事ができる。 物理法則を完全に無視した方法で。 少年は目を閉じる。 静かにソッと。 すると、無風のはずの校舎内に突如風が吹き荒れた。 その風が少年の足元に集束していく。 その時だった。 少年の髪の色が、赤から黄色に変わり、その瞳も髪に沿った黄金に輝いているのがわかる。 次の瞬間。 ドンッ!!! と、全身を打たれるような重い音が鳴り、床に直径五メートルほどの大穴が口を開く。 それは、周りの窓ガラスや鉄製の扉をも巻き込んで開かれた穴。 少年は、ゆっくりと、まるで何かに吊るされているかのようにゆっくりとその穴に落ちていく。 三十秒もかからなかった。 アッという間に地下3階。 最下層へとたどり着いた。 天井に大穴を開ける方法で。
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