序 章 文明は痕跡を残す

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               今日の授業は全て終わった。 午後17時。 囚人達はそれぞれ自分の牢屋に帰り、色々準備して、収容所内にある共用の風呂に入りに行き、その後は食堂に集まり一斉に夕食をとる。 それで大体午後19時になる。 そこから、消灯時間の21時までは、各自自由時間。 一日の疲れを癒すためにすぐに寝るもよし。 この収容所内を散歩するもよし。 収容所内に設けられた様々な施設を使用するもよし。 しかし、消灯時間までには自分の牢に戻っていなければ、厳しい罰則がある。 よって囚人達は規則正しい生活を強制的に強いられる。 真っ白なベリーショートの髪の毛に、両耳に計10個のピアスを付けた少女、狩野 舞夢は、収容所内を歩いていた。 様々な囚人達が、収容所内を闊歩していて、その中には、自分と同様中学生ほどの者も多数いた。 歳を召している者も少なくはなかった。 囚人には、老若男女関係なかった。 今日の教室での一件もあってか、すれ違う囚人達のほとんどが舞夢の姿を見かけるとまるで道を譲るかのように避けて行くのが分かった。 舞夢は、そんな事を不快には感じず、むしろ清々しいといった表情で足を進める。 彼女は、この東京に数名いると言われている『危険人物(デンジャー)』の中の一人だ。 嫌でも目立ってしまう。 そして舞夢が向かったその場所は、『コロシアム』だった。
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