序 章 文明は痕跡を残す

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《コロシアム》は、1フロア丸々使った大型施設で、日頃たまったストレスをお互いぶつけ合うという非合法な施設である。 なぜこんな施設が刑務所内にあるかというと、この『収容所』はそれなりの闇を抱えているからだ。 もちろん、死人だって出る。 しかしここに参加する皆は、それを覚悟で臨んでいるのだ。 死んだ事を嘆いたところで、全て『自業自得』の一言で済まされてしまう。 そんな世界だ。 先ほど、舞夢は知った。 『この中に、自分より強い人間はいない』という事を。 「何なら、頂点にでも君臨してみますか・・・?」 色白な少女の顔に、不気味な黒い笑みが浮かぶ。 それは、ストレス発散などではなかった。 ただ単に、自分の力試し。 しかも、勝つ事を確信した上での殺し合い。 理不尽な虐殺が、これから行われようとしていた。  
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