序 章 文明は痕跡を残す

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『特別収容所』という施設がある。 それは、特別な事情を抱えた者が集う場所であり、罪を犯した者を捕らえる場所だ。 そんな場所が、“日本”という島国の首都、“東京”のド真ん中にそびえていた。 大昔の建造物、『東京タワー』のような形をしている。 そんな大建造物を見上げるようにして立っている少年が一人。 「チッ。くだらねえな、こんな大それたモン造る金があんなら、少しでも・・・」 そんな事をブツブツと呟いている少年。 天然の赤い髪を揺らし、街中で歩みを進める。 生まれつき髪が赤いというのも、ここ数百年の内に色々あって人間の遺伝子が様々な事が原因で変わったからだ。 少年はしばらく歩くと、一度立ち止まって空を見上げる。 その空は、雲や鳥以外にも空を浮遊しているモノがいる。 それは、飛行機やヘリコプターではない。 “人間”だ。 生身の人間が、そのまま浮いていたり、絨毯や箒に乗って飛んでいたりと様々だ。 まあ、物に乗って飛んでいるのは、ただ自分だけが浮いているのはなんだか恥ずかしいという者だが。 普通の社会人なら、自らの魔法でその体を浮遊させる事など容易い。 少しばかり難しい計算を行うのと同じ事だ。  
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