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『特別収容所』
その中身は、刑務所のような牢獄が広がっていた。
そして、上階の方には学校があった。
未成年の大罪人達を教育する施設だ。
窓や通気口には鉄柵があり、開ける事も特殊な魔法をかけなければ困難になる。
まあ、例え開ける事が出来てもそこから脱出しようものなら地面のシミになるのは必至だ。
何せ、『特別収容所』は大きな塔のような構造になっていて、その最上階である20階に学校があるのだから。
そして、その学校の教室の一角に、彼らはいた。
「・・・」
教室内には、中学生の少年少女達がそれぞれの席に座っていた。
そして、教室中は沈黙に包まれている。
それぞれの人間が、それぞれの罪を犯し、ここにいるのだ。
恐らく、窃盗から殺人まで。
数はおよそ10人。
そして、狩野 舞夢(かのう まいむ)もその一人だった。
ここは、一応学校であるからして、そこにいる全員は制服を着ていた。
舞夢は、教室の端の方の席に座り、鉄格子がかけられている窓の外をジッと見つめていた。
その目は、まるで何も見ていないように暗く、希望を失ったように霞んでいた。
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